大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和31年(ワ)1号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決要旨〕借地名義書換について交渉したが、不法占有者に対する明渡訴訟の終了まで従前の借地人名義で賃料を支払う旨の了解が成立し、その後二回賃料を改定し、その後も値上げ交渉のあつたこと等判示のような事情があるときは、借地権の譲渡について黙示の承諾があつたものと認むべきである。

〔判決理由〕被告らは、原告の黙示の承諾の存在を主張するところ、(中略)、原告は、被告羊屋が守田元吉から本件建物および本件土地の叙上の賃借権を譲り受け、本件建物について所有権取得登記を了した直後頃、守田元吉からこのことを知らされたこと、原告は、その後間もなく、被告羊屋に対し本件土地の借地名義書替について交渉した結果、本件建物を不法占有している山県千秋外数名に対する明渡訴訟の終了まで、被告羊屋は、便宜上、守田元吉名義で本件土地の賃料を原告に支払う旨の了解が成立したこと、そして、原告は、守田元吉を通じて被告羊屋に対し昭和二五年八月一日から賃料を一箇月坪当り金八○円に値上げする旨請求し、被告羊屋がこれに応じたこと、さらに、原告は、昭和二六年一月には、被告羊屋の本件土地占有の事実を確認したうえ、守田元吉を通じ、かつ、直接に被告羊屋に対し賃料を一箇月坪当り金一二〇円に値上げする旨請求したが、被告羊屋と交渉の結果、一〇〇円に改定されたことおよび原告は、昭和二七年二月にも、原告の他の土地賃借人とともに被告羊屋に対し直接、賃料一箇月坪当り金一五〇円に値上げする旨交渉したことが認められ、(中略)、このほかに右認定を左右するに足りる証拠はない。そして、原告が守田元吉から引き続き昭和二七年二月末日まで異議なく本件土地の賃料を受領したことは、原告の争わないところであるから、原告は、叙上の賃借権の譲渡について黙示の承諾をしたものというべきである。(杉本良吉 土屋一英 日高千之)

〔説明〕判示のような事情があれば、借地権の譲渡につき黙示の承諾のあつたことは、おそらく異論はなかるべく、黙示の承諾の典型的な事例といつてよいであろう。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!